プログラム
特別講演1
「細胞培養食品の現在地と未来:
その開発と規制動向はパラダイムシフトを迎えているのか」
北嶋聡
国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター シニアフェロー
石川県金沢市生まれ(1965年)東京大学農学部獣医学科卒(1990年)
(獣医師免許取得)同大学院農学系研究科博士課程獣医学専攻修了(1994年)
(専門は獣医薬理学、特に平滑筋・循環器・プリン受容体の薬理)
その後現在に至るまで国立医薬品食品衛生研究所に勤務。
2018年同 毒性部長、2025年より同 シニアフェロー。
2007年より岐阜大学大学院共同獣医学研究科 客員教授を兼任。
日本毒性学会理事、日本毒性学会医薬品毒性機序研究部会部会長、
内閣府消費者庁 食品衛生基準審議会 新開発食品調査部会 委員(部会長代理)
医薬品医療機器総合研究機構(PMDA)専門委員 など。
現在の専門は、毒性学(特に、一般毒性、生殖発生毒性、吸入毒性、皮膚感作性)、分子毒性学、基礎発生学(特に心臓中胚葉形成、及び、発生工学)。最近の主な研究分野は、発達神経毒性、PFASや新開発食品に係る安全性研究、トキシコゲノミクスなど。
趣味・特技:音楽鑑賞/ドラム演奏(フュージョン系)、卓球、アマチュア無線など。

【要旨】
「細胞培養食品」は、細胞培養技術を用いて作られる食品と考えられる<新規の食品>であり、安全性の担保に資する食経験はないものと考えられる。実際、国際的に確立された安全性評価手法は未だなく、これはハザード因子について不明な点が多いことに起因するものと考える。
そこで潜在的なハザード因子の抽出を目的として、まずは、諸外国における開発状況と安全性に係る規制動向について網羅的に概説する。
現況では、当該細胞を、効率よく大量増殖させる技術は見当たらないように思う向きもあるかもしれないが、あくなき探求に励む人類の性質を考慮すれば、飛躍的な発展を遂げる可能性は十分に考えられよう。
パラダイムシフトとは、トーマス・クーンにより提唱された概念であり(1962年)、パラダイム、すなわち、その時代や分野において、当然のことと考えられていた認識や思想、社会的価値観等が、革命的にもしくは劇的に変化することをいう。旧パラダイムでは説明できない例外的な問題が徐々に蓄積し、その結果、パラダイムは危機に陥るが、やがて、異端とされる考え方の中から問題解決のために有効なものが現れ、全く新しいパラダイムが登場する。こうして科学あるいは人類は進歩してきたのではないだろうか。
このパラダイムシフトと、「細胞培養食品」に係る開発・その安全性評価との関連性を含め、大所高所の視点から、「細胞培養食品」の開発と規制の将来像について展望する。
※その他のプログラムにつきましては、決定次第、随時掲載いたします。